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規程と実際の運用にずれを見つけたら

社会保険労務士 佐藤 明

就業規則や社内規程を、日々の判断で開く習慣がない。開いても「古くて今の仕事には使えない」と思われている。そうなると、規程を見直さないまま、別の運用が積み重なります。規程と実務のずれに気づいたら、まず何が行われているかを確かめるところから始めます。

気になる規程の一条と、対応する現在の運用を一組書き出し、違いを具体的にします。「いつから」「どの範囲で」「誰の判断で」今の方法になったのかも、分かる範囲で確かめます。個別の例外なのか、全体の通常の運用なのかによって、検討する論点が変わります。個別の事情への配慮と、社内で一貫した判断を両立できるかも見ます。

ずれを整理する三つの問い

  1. 規程は何を定めているか:本則と関連規程を含め、該当する定めを確認する。
  2. 実際には何をしているか:担当者ごとの理解ではなく、日々の運用を確かめる。
  3. 今後はどうしたいか:現状に規程を合わせるのか、運用を規程に近づけるのか、別の方法に改めるのかを検討する。

文言の変更は、この三つ目の方針が見えてから考えます。一つの規程だけを直すと、関連規程との間に新たなずれが生じることもあるため、周辺の定めもあわせて見ます。

どの方向が適切かは、規程の内容や関連する法令を確認したうえで検討します。現在の運用をそのまま規程にすればよいとは限りません。

判断に使える規程にする

規程は、原則だけを掲げても、例外が起きたときに迷うことがあります。たとえば賃金規程なら、手当の支給要件や例外の扱い、計算や端数処理の方法を、担当者が判断しやすい言葉で示します。服務規律や安全衛生上の遵守事項も、一般的な文例で済ませず、その企業の仕事と運用に照らして考えます。

誤払いが生じたときの扱いや、診断書を求める場合の費用負担など、実務で判断が分かれやすい点も、必要に応じて確認します。具体的な取り扱いは、その会社の規程と事情、関連する法令を踏まえて検討します。

使いながら見直すマニュアルにする

規程を開いた担当者が判断に迷った箇所は、次の見直しの材料になります。仕事の進め方が変わったときや、例外の扱いが増えたときも、規程と実際の運用を照らし合わせます。必要な確認を行い、決めた手順に沿って更新し、日々の判断に使い続けられるマニュアルにしていきます。

伝え方まで考える

規程を改定する場合は、誰が、いつから、どのように運用するかも整理します。従業員に説明する内容と、管理職・担当者が実行する手順は、同じとは限りません。周知の方法を考え、分かりにくい部分は、必要に応じて説明資料や動画で繰り返し確認できる形にします。

規程を開いて使う習慣と、運用に合わせて見直す流れをつくることも大切です。どの規程から見直すべきか迷う場合は、気になっているずれからご相談ください。

ずれを見つけた段階で、改定する箇所まで決める必要はありません。就業規則・社内規程の整備・見直しで相談できることもご覧ください。